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2022年7月 「加減弁(2)」



加減弁は、バックヘッドに設置したレバーで操作される。レバーはボイラーの内圧で開かないようにスプリングで引き戻されており、レバーを途中で止めるためにノッチが設けられている。構造は、平岡幸三氏のK-27の加減弁および、OSの逆転機レバーを参考にした。ラッチ用の補助レバーを本レバーの奥ではなく手前に付けているのは、緊急時に指1本で押すだけでロックが外れて全閉になるという平岡氏の設計に倣った。



軸受けグランドは、真鍮丸棒を旋削して作る。Oリングを納める溝を形成し、その手前にグランドナットをねじ込むねじを切る。



三爪チャックごとフライス盤に移動して、XY座標管理で円周穴を開ける。



本体に部品を固定するためのブラケット類を作成。ロータリーテーブルで真鍮板を加工して作る。



フランジの本体にブラケットを付ける溝を入れ、ブラケットを銀ロウ付けして完成。



この後にコイルスプリングを設計したが、現状のスプリング保持位置では、スプリング全長が短すぎることが判明。そこで、スプリング末端をフランジの真横で保持するようなブラケットを追加で作成して取り付けた。固定ボルトは、フランジ自体の固定を兼ねる。元のL型のブラケットは横を切り落とした。




操作レバー本体はSUS304のレーザー加工品である。先端の丸棒部分はSUS303の丸棒から削り出し、銀ロウ付けをした。



ノッチを刻む円弧の挟み板は真鍮板から作った。外形を仕上げる前に、ノッチの半円部分を形成する穴を先に開ける。



挟み板の内外の弧の形状を仕上げると、半円のノッチが出現する。部分的にノッチサイズのエンドミルで溝を補正した。



ラッチによる押し付け力に抗うため、挟み板の内部に溝を形成し、レバーに差し込んだピンがこの溝の中を通って軌跡を制限されるようにする。ピンの軌跡も弧になり、作図で求めたが、ノッチを形成する外周弧と同心円にはならない。レバーの角度が開度により複雑に変化するためである。




挟み板の先端のRもロータリーテーブルで仕上げた。下の板はロータリーテーブル用に何度も使い回した治具で、多数の穴は昔の加工の名残りである。



グランドのブラケットに挟み板を取り付けるとこのようになる。先端にはスペーサーとして真鍮のリングが入っている。



ステムの後端にはスリット入りのクロスヘッドがねじ込まれる。スリットはメタルソーで加工した。



ステムはOリングでシールされ、Oリング室はグランドナットで閉じられる。Oリングのつぶし量は径方向に0.3mm、軸方向は0mmである。スライドバルブの動作範囲は、ステムへのクロスヘッドのねじ込み量で調整し、ロックナットで固定する。



ノッチに入るラッチ板と、ラッチを引き上げる補助レバー。いずれも、真鍮をエンドミルとヤスリで加工して作った。ラッチ板はT字になっており、T字の下端が両側の挟み板のノッチに入るようになっている。上端にステンレスのピンが銀ロウ付けされており、このピンが補助レバー背面の穴に入り、補助レバーを操作すると、ピンが上下に突き動かされて、ラッチを上下に動かす。



T字のラッチ板は真鍮ブロックから作ったブラケットで保持される。ブラケットはネジ2本でレバーに固定されている。



2種のスプリングはいずれも引張バネで、0.7mmと0.4mmのステンレスバネ線を巻いて作った。線径と同じピッチで巻き、両端をラジオペンチでねじ曲げて立てる。




すべてを組み上げた状態。各リンクのピンは、SUS303丸棒の両端をEリングで固定したものである。全閉の状態で、スプリングの力がボイラーの内圧とバランスするようになってる。



蒸気ドームに届くリーチロッド(ステンレスパイプ)の後端には、ステンレスのブッシュが銀ロウ付けされており、ステムとブッシュはクロスピンで接続される。クロスピンは水平に配置され、ブッシュの穴はステムよりやや大きいので、リーチロッドは上下に自由に傾けるようになっている。



外火室後板の加減弁ブッシュに取り付けた状態。実際のレバー操作だが、Oリングにある程度の抵抗があるので、スプリングの力だけでは完全に戻らない。全開まで開くと、スプリングの引き戻し力がかなり強くなるが、運転時はボイラー内圧でステムが押し出されるので、スプリングの力は緩和される。



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