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2022年5月 「焚口戸」


C53では近代的なバタフライ式の焚口戸が使用されており、模型でもこれをスケール通りに再現する。ただしエアによる自動開閉はせずに、手動開閉とする。

焚口の枠の部分は、モデラで木型を作成し、砲金鋳物を手配した。鋳造コストを下げるため、バタフライの上部に取り付けるエアシリンダー部分も接続した形で一体の鋳物とした。




エアシリンダー部分を切り離し、残った枠部分を加工する。まず四爪チャックで裏面を仕上げた。



枠の下方左右に鉤型部分があり、キーシートカッターでアンダーカットを削り出した。



戸板は鋼板のレーザ加工品で、表面と、裏の枠部分との貼り合わせ構造とした。ねじ部分の形状はインボリュート曲線を採用した。CADで作図できなかったので、3度刻みで座標を計算し、スプラインで点を結んで近似させた。



表裏をピンで位置決めして、銀ロウ付けで貼り合わせ、ドリルで風穴と軸受け穴を開ける。




上面の周囲をヤスリで丸く仕上げ、ストッパーピンをロウ付けして戸板が完成。中央のナットはダミーである。



枠材にピンをねじ込み、戸板をセットするとこのようになる。歯車の遊びが適切になるように、ピンの位置は正確に決めなければならない。



こちらは戸板の開閉操作のためのレバーである。回転運動のみでなく上下に動かすので、根元のブッシュ穴は、楕円形に加工している。



左写真は、レバーの動きを戸板に伝えるための部品で、小さいが複雑な形状をしている。上下別々に加工をして銀ロウ付けで組み立てた。上の部品は、右写真のように加工した板を曲げたものである。



ダミーのシリンダー部品を取り付け、全てを組み立てた状態。レバーを上下させると扉が開閉する。




レバーを下げた状態で奥に押すと、レバーの根元が弧の切り欠き部分に引っかかって開いたま止まる。レバーを手前に引くと、扉が自重で閉じる。



ボイラーの焚口にネジ3本で取り付ける。ボイラー側は、ネジ穴位置の裏面が銅板で裏打ちされていて、M4の止まり穴が開けられている。



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