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2022年4月 「蒸気箱とバルブ類」



ボイラーの外火室後板の上には、各種バルブを備えた蒸気箱が取り付けられる。以下、それぞれのバルブと蒸気箱の製作手順を説明する。



通風弁その他のバルブのハンドルは、複雑な形状をしており、メーカー品ではロストワックスなどで作られるが、ここでは丸棒の加工でそれらしい形状を表現した。まず旋盤で外形のシルエットを加工し、三爪チャックごとフライスステージに移動して、座標管理でレンコン形状の穴とその周辺の弧を加工する。



三爪チャックを再び旋盤に戻し、最後の旋削加工をしてから突っ切る。



こちらは複数のハンドルを一気に加工するため、長い筒の状態でレンコン穴と周囲を加工し、1枚ずつ旋削で仕上げて突っ切る。




3種類のサイズについてこれだけのハンドルを用意した。最終的に最大サイズのものは使用しなかった。



バルブの各部品と、それを組み上げた状態。弁はニードル弁で、根元がOリングでシールされ、バルブを開けても蒸気が外に漏れないようになっている。



弁棒の根元は、ハンドルを入れる部分を四角形に加工する。写真のようにバイスにチャックしてエンドミルで加工したが、軸の反対側に角度出し用の四角棒を取り付け、スコヤで直角を出した。




ハンドルの中央の穴は、弁棒の四角柱に合わせて、角ヤスリで四角穴に仕上げた。



同じようなバルブを4本作った。ハンドルの大きいものが通風弁で、他は、インジェクター、発電機、ドンキーポンプを想定している。ボディサイズは全部同じ。




蒸気箱は真鍮角棒から作る。縦に蒸気通路を貫通させ、両端をプラグで塞ぐためにタップを立てる。



バルブ類を取り付ける穴を開ける。フライス盤を用いてタップを立てた。



ボイラーにねじ込むスタッドを中央下部に銀ロウ付けして、蒸気箱本体は完成となる。



最後に汽笛弁を作る。まず真鍮厚板を加工して、汽笛弁のレバーを保持するブラケットを作る。ロータリーテーブルを用いてR加工をした。



ブラケットを弁本体に銀ロウ付けし、メタルソーでスリ割りを入れる。ここに板状のレバーが入る。



本体の下部に配管接続用のニップルを銀ロウ付けすれば、弁本体は完成となる。



こちらが汽笛弁の全部品となる。弁棒は弁体の根元側から入り、スプリングで弁座の穴に押し付けられ、先端のテーパー部分が穴をふさいでクローズとなる。レバーはテコになっており、これで細いピンを押して、弁棒を押し開ける。



汽笛弁のレバーの材質はSUS430で、末端に指で押すためのボタンを銀ロウ付けしている。ボタンはSUS303丸棒から作り、その上にベークライトの円盤をネジ止めしている。火傷防止が目的。WILLIAMの汽笛弁でこの構造を採用し、なかなか使用感が良いのでここでも応用した。



汽笛弁のスプリングを本体に入れるスペースを確保できなかったので、汽笛弁の反対側に延長ポケットを設けてここにスプリングを格納している。その左右に見える部品は、水面計上部にバイパス接続するためのもの。



圧力計が付いていないが、圧力計は視認性が重要なので、キャブの細かいレイアウトを決めてから取り付ける。蒸気箱の左右どちらかのプラグを外して配管を接続する予定である。



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