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2018年8月 「下まわり塗装」


C53は今まで二階の工作室で組み立ててきたが、一階に仮置き場を確保することが出来た。しかし分解しないと階下に降ろすことができない。どうせ分解するなら、このタイミングで塗装を行い、最終組み立てとすることにした。塗装に先立って、完成までに必要な取り付け穴を開けておく。国鉄型の近代蒸機では、ランボードを始め、上まわりのほとんどの部品はボイラーに取り付けられる。煙室もシリンダーブロック上に乗るので、主台枠に直接取り付けられるのは、前部デッキとボイラー火室、そしてキャブの床下構造物くらいのものであり、加工が必要な箇所は少ない。


主台枠前端の前台枠鋳物に加工未了の箇所があった。床下の給水暖め器を吊るバンドの固定ネジ穴である。前台枠鋳物を取り外して加工をした。



こちらは後台枠鋳物。後端梁を取り付けるネジ穴を開けてなかったので、ここで開けた。



塗装に用いたのは、いつものように、デイトナの2液混合ウレタンスプレー「耐ガソリンペイント・半ツヤ黒」である。さらに真鍮、砲金、アルミなど塗装の密着の悪い材料には、プライマーとして「ミッチャクロン」を使用する。



前後の台枠鋳物を再び主台枠に取り付け、まとめて塗装を行った。大物なので、古カーテンと新聞紙で工作室全体を養生し、換気扇を回しながら塗装を行った。塗装の前処理としては、全体をサンドペーパーで磨き、アセトンで拭いて脱脂したが、経年でサビが進行していて、削り落とすのに塗装より時間を要した。



大量にある下回り部品は個別に塗装した。いつものように金網の上に並べ、TV用のターンテーブルに載せて、ターンテーブルを段階的に回しながら、4方向から塗装をする。裏、表の順でそれぞれ二度塗りで仕上げた。



シリンダーブロックは、各部品の取り付け面をマスキングして塗装をした。白いマスキングは、裏面に粘着剤の付いたラベル用紙(ニチバン マイタック)である。コンパスで円を描き、ハサミで切り抜いて貼る。




最終組み立てなので、シリンダーヘッドのシールを行う。ガスケットとして茶封筒を使用した。A4サイズに切り、プリンターで原寸大のCAD図面を印刷し、カッターで切り出す。ネジ穴の部分は、皮用ポンチで打ち抜く。



分解のついでに、ドレン弁の改良を行った。球弁を押さえるスプリングに、シリンダー安全弁と同じスプリングを使用していたのだが、強すぎて操作が固かったので、弱いものに交換した。具体的には、線径を0.4mmから0.3mmに変更して、圧縮量も減らし、弁の着座力を300gから40gに減らした。



部品を階下に降ろして再組立てを実施。弁調整は、分解前に各部品の距離を測定してそのとおり再現した。再びエアテストを実施して、狂いのないことを確認した。



白馬のミニトレインパークで開催されたナイター運転会に参加した。運転したのはハンスレットだが、C53を持ち込んで牽引し、曲線・ポイントの通過テストを行った。後部に煉瓦を積んでウェイトとし、前後それぞれ向きを変えてテストした。実際の走行では客車の反作用で後方に引かれるので、後方から引く方が条件に近いはずである。レイアウトを脱線なく通過できたので、そのまま数十分ほど引き回した。おかげで可動部にアタリが付いたようで、動きがかなり軽くなった。


予定外で記事を出しましたが、来月こそ休みとさせていただきます。

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