2005年3月 「ディテール工作(2)」


配管部品のうち、エルボはやっかいな部品である。丸棒をどんなに焼き鈍しても、こんなにサクッと曲げることはできない。2個の部品を銀ロウ付けで接合するしかない。まず真鍮丸棒を必要な形状に加工し、先端を45度にカットする。ここで写真のような治具を用意し、2個のカット面が接するようにセットアップし、継ぎ目に銀ロウを流し、ヤスリで仕上げる。エルボの片側は、段差加工で接続パイプを一体表現し、もう片側は他のパイプを接続する穴を開けておいた。この治具を使えばエルボを量産できるので、放熱管の接続の一部にも使うことにする。
エルボ部品エルボ銀ロウ付け治具エルボ完成


チリコシと配管
組み立てたチリコシ配管。銀ロウ付けで組むと、エルボの接合面が取れてしまう可能性があるので、高温ハンダで組み立てた。チリコシ本体は、真鍮丸棒からの削り出しで、どうということはない部品である。



調圧器はこれまた複雑な形状である。写真のような部品類を真鍮素材から加工し、組み合わせて作った。まず上下を分けて組んだが、上は銅リベットを横に貫通させて固定し、下は両端にネジを切った短管を挿入してナットで固定し、銀ロウを流した。
調圧器部品調圧器組み立て途中


調圧器完成
上下の接合の前に、上の部品はヤスリで整形しておく。下からM2ネジを通し、六角の部品をはさんで上下を仮止めし、再び銀ロウを流す。接合後に、ネジ頭はヤスリで削り落とし、下部の横穴を再び貫通させる。ここに配管のパイプを通すことになる。


空気ホース
空制化のディテールパーツとして、空気ホースも作製した。ホースは、それらしい黒の電線皮膜を利用した。チェーンは、ネックレス用の「あずきチェーン」である。先端とバルブの形状は複雑で、部品の組み合わせで作った。以下その手順を示す。



ホース先端の鋳物を表現するための部品類。中央上の部品は、丸棒を斜めにカットし、旋盤の心押しにチャックしたエンドミルでくぼみを掘り、横穴を開けてから穴の途中で突っ切る。その下の部品は、真鍮丸棒をフライス盤のステージに固定して、90度まわしながら加工し、最後に先端の余剰を切断して仕上げた(写真右)。写真では見えないが、丸棒の左端は、ステージに固定した角棒に突き当てられており、ステージのX軸を固定することで、常に同じ位置を削ることができる。
ホース先端部品ホース先端加工


バルブを表現するための部品類。蛇口の曲がりは丸棒を曲げて表現した。先端を先に加工してしまうと、とても曲げられないので、丸棒の状態で曲げてから先端を切断して加工する。写真のように面板上のアングルに固定し、ダイヤルゲージで芯出しをして、段差加工、ねじ切りをした。いつものように、旋盤用の交換歯車をバランスウェイトとして使う。
蛇口部品蛇口管の芯出し


ハンドル加工
ハンドルは複雑な形状である。真鍮角棒をロータリーテーブルにセットし、エンドミルでそれらしく浮き彫りにした。これをメタルソーでスライスして切り取り、ヤスリでバリを取り、万力にチャックして、蛇口に沿う角度に曲げる。


空気ホース部品完成
銀ロウ付けにより組み立てる。先端部品の上部のイボは、実物では楕円になっているので、アルミの厚板を介して万力でつぶし、強引に変形させた。裏には、チェーンを接続するためのネジ部が突き出している。ホースとの接続部にもネジを切り、ホースをねじ込み接着する。バルブの横に置かれた六角部品は、ブッシュに似せたロックナットで、バルブを前端梁へ固定するためのもの。内部に半分だけネジが切られている。


チェーン
チェーンの両端はM2ネジで固定するが、細すぎてネジが通らないので、ステンレス線(CSP)から作ったリングを両端に付けた。バネ製作と同じ要領でコイル状に巻き、ニッパ(クニペックス)で1周分を切ってチェーンを通し、万力とヤットコで輪をねじって止めた。



HO工作の細密地獄に近い様相を呈してきた。この調子で細かい部品をチマチマ作っていたのでは、完成はいつになることやら・・・

(終)


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