2005年2月 「ディテール工作(1)」


汽笛をエアタンクに似せて設置したので、空制化を表現するディテールパーツを追加することにした。まずはコンプレッサである。ダミーコンプレッサの自作方法は、平岡幸三氏の「ライブスチームのシェイを作ろう」に記載されているので、これを大いに参考にさせてもらった。1/12スケールに合わせてサイズを拡大した。

蒸気シリンダ
上の蒸気シリンダは25mmの真鍮丸棒から作った。後部に、斜面を貫通する穴を開けて、配管接続部となる丸棒をロウ付けする。エンドミルで半分ほど穴を掘り、途中からドリルに持ち替えて貫通させた。



下の空気シリンダも25mm真鍮丸棒から作製。自作の突っ切りバイトで連続して溝を入れ、ラジエータフィンを表現した。突っ切る前にリリースして、チャック部を万力でつかみ、空気弁室が付く背面部分を帯鋸で切断する(写真右)。この後、フライス仕上げして、再び三爪チャックして突っ切る。
フィン旋削シリンダ後部の鋸切断


縦溝埋め
フィンの縦の仕切りを表現するため、メタルソーで縦溝を入れ、溝を真鍮角棒で埋める。2mmの角棒をロウ付けして、ヤスリで仕上げる。平岡氏の手順と同じである。写真は、ロウ付け直後の状態。


空気弁室
シリンダ背面の空気弁室は、真鍮平角棒からエンドミルとヤスリで仕上げた。ポンプとの接合は、銀ロウ付けではなく、ねじ止め接着にした。その前に取り付け穴(貫通ネジ穴)を開けておく。



上下を接続するフランジ短管は、外形と内径を旋削で仕上げてから突っ切り、バイスにチャックして、二枚刃エンドミルで窓を開けた。まずφ10エンドミルでセンターに穴を開け、φ5エンドミルで周囲を仕上げた。
フランジ短管旋削窓開けフランジ短管完成


穴開け治具
三個の部品は真鍮精密ボルトで組み立てる(動輪舎製M1.7ねじ)。さらに上下面にはダミーのボルトをねじ込む。いずれも同じ直径の八分割穴となるので、治具を作って下穴を開けた。なお、上下面の穴入口には、ボルト根もとのストレート部を逃げるための座繰りが必要である。


スピンドル
スピンドルの露出部は、SUS303丸棒から作った。突っ切りバイトで全ての形状を仕上げてから、突っ切った。本体組み立て時に、上下の間にはめ込む。


蒸気弁のロウ付け
頂部の蒸気弁は、旋削した部品を銀ロウ付けで組み合わせて作った。真鍮小ネジで固定して銀ロウを流すが、ネジの頭側にも銀ロウを流しておく。この後、縦穴を再貫通させ、ネジの頭をヤスリで削り落とし、あとかたなく仕上げる。


スタンド
コンプレッサをランボードに取り付けるためのスタンドは、黒皮アングル材から作った。組み立ての都合で上からねじ止めしなければならないので、写真のようなややこしい形状になった。コンプレッサ取り付け面は、正確に垂直になるようにエンドミルで矯正した。


コンプレッサ完成
完成したコンプレッサ。チリコシ、配管、調圧器の製作法については、来月説明する。(休刊防止のためにネタ温存・・・)


(終)


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