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2020年11月 「ボイラー銀ロウ付け(1)」


第一回の銀ロウ付け作業を敢行。以前報告した通り、騒音問題で自宅では作業困難なので、JMRCのS氏の工場をお借りすることになった。遠方なので、なるだけ作業をまとめてロウ付け回数を稼ぐことにした。


銀ロウはBAg-1で、線径1.6mmと1mmの2種を使用した。ステイ用と煙管用は、1mmのもので輪を作ってそれをロウ付け箇所にかぶせて使用した。大煙管用のみ、3分割で使用した。数量の多いステイ用は、旋盤でバネを巻く要領でコイル状にして、鋼線用のニッパで切って輪にした。



バックヘッドにブッシュ類をロウ付けする。小型のブッシュはカシメて止めており、加減弁ブッシュは小ねじで固定している。同時に、焚口戸をねじ止めするための補強板を3枚、焚口周囲にロウ付けした。



内火室側板に、内火室後板をロウ付け。銀ロウは内部において、外から加熱して溶かす。申しわけ程度に耐火煉瓦で囲って保温したが、この程度の保温ではほとんど効果がなく、そもそも火力が予想以上に強かったので、保温は不要であった。




一部で銀ロウが転がり落ちるなどして不足したので、途中で火を止めて銀ロウとフラックスを追加し、再加熱して銀ロウを流したが、どんどん継ぎ目に流れ込んでしまう。加熱による変形で隙間が開いたようで、どうやらリベットの固定が甘かったようである。ここは後になって問題が発生する。



フロントステイ、バックステイは、7mmのリン青銅丸棒から作った。片側にM7*0.75のネジを切り、反対側は6.4mmに段差加工している。



バックステイのネジ部にフラックスを塗り、内火室後板にねじ込み。



バックステイと焚口輪のロウ付けが終了。ここは反対側からやる予定だったが、内火室後板と内火室側板の継ぎ目に表から銀ロウを追加で流したかったので、このセットアップで実施した。



内火室管板にフロントステイを付ける。ステイは下からねじ込んで下から加熱して銀ロウを溶かす。



缶胴の下部を継ぎ合わせる。最初に缶胴の下から加熱してロウを溶かして流し込み。最後は念のために中から加熱したが、缶胴の内部にバーナーの炎を吹き込むと、酸欠で失火しそうになった。



これは内火室管板に煙管を銀ロウ付けする際に煙管の角度を合わせる治具である。丸棒部分を煙管の1本に入れ、4か所のネジを内火室管板の面に当てると角度が出る。煙管の前端には煙室管板を入れるので、煙管はすべて平行になる。



銀ロウ付けのためのセットアップ。煙管の先端を煙室管板に入れ、全体をブロックで囲い、砂を詰めて角度を保持する。砂を使うのは、平岡氏のK-27記事で紹介された方法である。セットアップが完了したら、静かに角度治具を抜く。




銀ロウ付けが終わった状態。内火室管板の下部に銀ロウが回っていることを確認する。回っていない場合は、ロウを追加してさらに流す。



銀ロウ付け後は、10%の希硫酸で酸洗いして酸化膜を落とす。S氏の工場では、ボイラーの銀ロウ付け専用に洗い桶を準備しているが、ボイラーが長すぎるため、煙管だけで桶の全長を使い切ってしまう。以後は斜めにして半分ずつの酸洗いが必要である。



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