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2020年10月 「ボイラー銀ロウ付け準備」



喉板のフロントステイ用の穴開けが未了だった。ここは内火室管板から移し開ける。



内火室管板と内火室後板のフロントステイ穴にタップを立てる。サイズはM7×0.75。



7mmのリン青銅丸棒を用いて、フロントステイとバックステイを作る。片側はM7×0.75のダイスを切り、反対側は6.1mmに段差加工をしている。



外火室天板の蒸気箱ブッシュ用の穴を、ホールソーで開ける。材料が柔らかくて不安定なので、針金を用いてステージに固定した。



内火室側板に、リベット固定用の穴を開ける。2mmのドリルを貫通し、4mmの皿モミを入れる。



側板の穴を、内火室管板と内火室後板に移し開ける。内火室後板は傾いた状態でネジ穴が鉛直になるので、アングルバイスで傾けて固定した。ひとつ穴を移し開けたら、すぐにM2のビスとナットで仮固定し、次の穴に進む。




ビスとナットで仮組みが終わった状態。このまま組み立てを進め、銀ロウ付けの直前に銅リベットに換装する。



クラウンステイは、縦のプレートを2枚のアングル材で挟んだ構造である。アングル材は、銅の帯板を焼鈍して万力にチャックし、プラハンマーで曲げたもの。片側のアングル材にリベット用の穴を開け、定盤の上で仮組みをする。



そのまま横倒しにして、アングル材の穴を縦のプレートと反対側のアングル材に移し開ける。ここもとりあえずビスとナットで仮組み。



外火室の天井に付けるアングル材は、丸い天井の左右に離して配置されるので、鋭角と鈍角のペアとなる。



鋭角と鈍角は、型板用のハードメイプル材で非平行四辺形の型を作り、万力にチャックしてプラハンマーで叩いて曲げた。




まず下アングル材と縦プレートをリベット固定して銀ロウ付けする。ここまでは自宅でできるレベル。



左右のクラウンステイを内火室の頂部にクランプし、リベット用の穴を移し開ける。ここもとりあえずビスとナットで固定。最終的には、クラウンステイ側面に、水の通りを良くする横穴も開ける。




これより、第一回銀ロウ付けの準備を始める。まず内火室側板に内火室後板を付ける。継ぎ目に薄くフラックスを塗り、リベットで固定する。リベットは内側から刺し、アンビルを手で保持して中からヘッドを押さえ付けながら、外側からハンマーで叩いて先端を潰し、表の皿モミ部分に埋め込む。そして内側からフランジの端部に1mmの銀ロウを隙間なく並べ、上からフラックスを厚く塗った。フラックスはそのまま自然乾燥させる。



バレルは、帯板にタップを立てて真鍮ビスで固定しているので、そのままビスを使用する。これも帯板の両側に1mmの銀ロウを隙間なく並べ、フラックスを塗って乾燥させた。



ここで、ブッシュの仮止めのためのカシメ工具を用意した。工具鋼の丸棒をタケヤリ型に削り、焼き入れ焼き戻ししたものである。バックヘッドの外側からブッシュを入れ、ブッシュぎりぎりの銅の表面を三か所くらいカシメ工具で強く押して変形させると、ブッシュは圧着状態となり、銀ロウ付け中にも抜け落ちなくなる。


さて、次回いよいよ大型の銀ロウ付け出張作業の開始である。

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