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2017年11月 「内側クロスヘッド」



内側クロスヘッドと内側スライドバーの断面図を示す。スライドバーは下向きのT溝で、その中をT字型のクロスヘッドが摺動する構造である。スライドバーのT溝は、平板と角棒を組み合わせて作る。

まずクロスヘッドから。側板はレーザー加工品を段差加工したもの。ピストン棒を差し込むブッシュ部分は、外側クロスヘッドと全く同じ形状である。それ以外に天板とブロックを必要サイズに仕上げる。これらは、銀ロウ付けに先だってネジ固定する。




内側から銀ロウを流して固定する。仮組みに用いたネジは、抜き取るか削り取って除去する。



クロスヘッドとピストン棒は、組み立てにくい場所での接続となるので、コッターではなくネジ接続にした。ピストン棒が直径9mmなので、8mmに段差加工してM8×1のネジを切った。クロスヘッドのブッシュ部には、上の天板を基準にしてネジ穴を開ける。



クロスヘッドと内側メインロッドの接続部への注油を容易にするため、注油穴を掘った。油を溜めるくぼみと、そこからメインロッドの表裏に油を導く2mmの穴を開けた。対向するスライドバーにも穴を開け、油を上から垂らすと、スライド部と回転部の両方に注油されるようにする。



リン青銅で、クロスヘッドの天板の表裏を覆う滑り板を作る。大きいのが上面用で、注油用の穴が開いている。



内側スライドバーの部品と、それを組み上げた状態。T溝の幅は、実際にクロスヘッドを入れてみて、ネジのガタの範囲で調整した。




上のパーツのうち、T溝の外側の部品は、クロスヘッドの根元を逃げる面取りが必要である。面取りカッターで加工をした。



スライドバー、クロスヘッド、ピストンを組み上げた状態。内側については、外側のようにまとめて取り付けは出来ない。一度分解してひとつずつ本体に組み込む。



スライドバーの後部は、主台枠内にある「内側滑り棒受け鋳物」に固定されるが、そのためには鋳物に穴開け加工が必要である。ところが、この鋳物を取り付けているボルトが、第一動輪の裏に隠れて抜けないことがわかった。鋳物を取り外すため、第一動輪のみ抜き取った。総重量が現時点ですでに100キロ近くあるので大変である。ブレーキテコ、イコライザーも一部分解した。



鋳物は天井に穴を開けて再び固定する。スライドバーをシリンダーに取り付け、鋳物の穴をスライドバーに移し開ける。貫通ではなく皿モミだけ入れ、取り外してネジ穴に加工した。ちなみに鋳物の取り付けは、動輪を外さなくても良いように、内側からボルトを入れて動輪の裏でナット止めするように変更した。



最初はピストンのOリングを抜いた状態で、メインロッドを接続せずに、ヘッドが軽く動くことを確認する。OKであればピストンにOリングを入れ、メインロッドを接続する。メインロッドの接続は、外側クロスヘッドと同じ構造だが、菊ナットは作らずに、市販のナットを使用した。



全気筒にOリングを入れて組み上げ、レール上で転がりテストをしたが、部分的に動輪がスリップする。全部のリンクを外してひとつずつ接続しながら固さを見たが、これといって固いところは無く、全体の抵抗が増えてスリップする様子である。動輪はサビ防止のため油引きしているので滑りやすくなっており、車体に軽く体重を掛けて転がすと、滑らずスムーズに転がる。ということで現時点では問題なしと判断した。



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