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2017年9月 「外側クロスヘッド(2)」



クロスヘッドとピストン棒は、実物と同様にのテーパー接続をして、コッターで固定することにした。まずクロスヘッドのブッシュ部にテーパー穴を開ける。スライドバー摺動面を基準にして、ブッシュ前面に穴位置をけがき、四爪チャックで芯を出し、ドリルで下穴を開け、トップスライダーを傾けて、中繰りでテーパーに仕上げた。



ピストン棒からピストンを外し、ピストン棒の後端を同じ角度のテーパーに加工する。さきほどの穴加工時と同じトップスライダー角度で軸を加工するので、バイトは軸の手前ではなく奥に裏返しにセットして上から下に削った。ここの加工でピストンからクロスヘッドまでの距離が決まるので、クロスヘッドを入れて深さを確認しながら仕上げた。



次はコッターである。図はコッターに沿って軸を割った断面図で、コッター(黄)は後部がテーパーになっており、上からコッターを打ち込むことで、ピストン棒(ピンク)がクロスヘッド(水色)に引き込まれることがわかる。コッターでテーパーになっているのは後部のみで、他は厚さ方向もストレートであり、加工はそれほど難しくない。


クロスヘッドにピストン棒を叩き込み、コッター用の長穴の基準となる連続穴を開ける。3mmのエンドミルでスタート穴を掘り、ドリルを貫通させた。



クロスヘッドはチャックしたままで、ピストン棒だけ打ち抜き、クロスヘッドの穴を長穴化するが、後方に向かって穴を半円ほど追加する。エンドミルが下まで届かないので、下部は反転させて加工した。



ピストン棒側を長穴化する。こちらは前方に向かって半円を追加し、さらに棒を傾けて後方をテーパーに削る



コッターは厚さ3mmのS45C鋼材から作った。最終全長24mmだが、打ち込み具合を見て切断調整するため、30mmからスタートした。まずクサビ型に加工し、半径1.5mmのRカッターで、前後端面をアール加工する。



クロスヘッドにピストン棒を打ち込み、コッターを打ち込むと、左の写真のようになる。表裏の突出量が同じになるように全長を仕上げ、両端をヤスリで面取りをする。さらに強度を増すため熱処理をした。冷水で焼入れし、電気炉で200度で焼戻しを実施した。表面の変色はペーパーで磨いて落とす。右の写真は、完成したコッター。



結リンクを接続するためのピンを作成し、取り付けた。先端に、割ピンで固定する止め輪が入っている




シリンダーブロックを主台枠に取り付け、スライドバーの前端を後部ヘッドにねじ止めし、ピストン、クロスヘッドを組み込む。この状態で動きを確認する。ピストンとグランドのOリングは抜いた状態で確認した。その結果、スライドバー後端がモーションプレートに押し下げられて平行が出ていないことがわかった。とりあえず後部の取り付け穴位置をドリルで皿モミしておく。



モーションプレートのスライドバー固定面を上に0.5mm削り込んで修正。その後、取り付けのネジ穴を開けた。



クロスヘッドとメインロッドを接続するガジョンピンは、10mmと6mmの段差加工がされており、6mm部分にはネジを切ってある。クロスヘッドの穴は、表が6mmで裏が10mmになっており、ピンを裏から入れて、表をナットで固定するようになっている。10mm側の端部は、8mmの四角柱になっており、ナットを締める時にレンチで回り止めできるようにしている。



ガジョンピンの菊ナットは、10mmの六角棒から加工した。まず六角棒のまま段差加工し、1mmのメタルソーで溝入れ加工をして、突っ切って裏面からネジ穴を開けた。



できあがったクロスヘッド周囲部品を組み上げた状態。この状態でまとめて本体に取り付けることができる。



Oリングも入れて本体に取り付け、メインロッドを接続すれば完成。レール上で転がして、スムーズに動くことを確認する。



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