2004年4月 「下まわり塗装」


ブレーキ装置を作る際、下まわりを分解したのだが、これが最後の分解となるはずなので、下まわりだけでも塗装をしておくことにした。当初の予定どおり、耐熱塗料を焼き付け塗装する。

焼き付け塗料
以前紹介したオキツモ(写真左)を使う予定だったが、キメの荒さと灰色の発色が気になり、Soft99の耐熱ペイント黒(写真右)に変更した。鋼材にテスト塗りした結果では、粒子が細かいためか、オキツモよりやや艶のある仕上がりである。説明書きによると、塗装後150℃で1時間焼き付けよとある。


焼き付け台
焼き付け台は平岡幸三氏の本を参考にして作った。使用した遠赤外線ヒータは、(株)八光のハイレックスヒータ HHS1105(全長485mm、100V-500W)で、入手先は市内の材料工具商社である。


主台枠焼き付け
主台枠は、組み上げた状態で前後端梁のみをはずして塗装した。本体は、何度となく吹き付けた防錆スプレーでベトベトの状態だった。全体をペーパーで磨いてきれいな面を出し、アルコールで拭いて仕上げた。軸箱モリの摺動面のみ、テープでマスキングをし、表と裏から2回ずつ、計4回重ね塗りをした。焼き付けは両側面から実施した。本体が長いので、写真のようにヒータと主台枠を別々に保持し、ヒータの方を移動さながら焼き付けた。


放射温度計
温度管理のため、1万円で放射温度計を入手。測定温度は550度までなので、残念ながら銀ロウ付けには使えないが、運転中のボイラーやシリンダーの温度測定など、いろいろ遊べそうである。ただしヒータからの赤外線が入ると表示が狂う。さらに、未塗装の金属表面はうまく測ることができない。


シリンダ塗装
焼き付け塗装で困るのは、塗装前にシール剤やロックタイト、低温ハンダなどで組み立てられないこと。シリンダーはバルブライナー固定にシール剤を使っているので、本格的な焼き付けができない。とりあえず100度以下で焼き付け、あとは運転時の熱で塗膜が固まってくれることを期待する。バルブとシリンダーのカバーを取り、穴をステッカーでマスキングして塗装した。


クロスヘッド固定
ピストンロッドとクロスヘッドは、ロックナット固定だけだったが、緩み防止のため、テーパーピンを打ち込むことにした。ドリルで下穴を開け、テーパーピンリーマをチャックして、手まわしで穴をテーパー化する。一度ばらしてシリンダーカバーなどを入れ、再び組み立てて、ステンレスのテーパーピン(2mm)を打ち込んで固定する。ピンの余剰は糸のこで切り取った。


シリンダー下部
鋼製のアーム類は塗装するが、ピンは塗装すると組み立て困難になるので、そのまま使う。ただしブレーキに使うピン、ロッドなどは黒く塗装する。動輪、ロッド類は防錆スプレーで汚れていたので、灯油で洗ってから油引きをした。組み立ての際、ネジ類にはすべてロックタイト222を塗った。


リターンクランク固定
リターンクランクの角度を再調整し、ここもテーパーピンで固定した。穴開けの手順はクロスヘッドと同じ。穴が深いのでピンは切断せずに使った。


エキセントリック給油用すり鉢加工
軸動ポンプのエキセントリックへの注油のため、注油口の上の中間梁にすり鉢状の加工をした。オイルガンでここに油を注すと、短い銅管を介して、下の漏斗に滴下される。加工のため中間梁を取りはずす際は、塗膜に傷が付かないようにフレームを手で押し広げながら行う。



塗装により全体の雰囲気が大きく変わるのを見るのは、楽しいものである。前後の端梁は追加工があるので、この段階ではまだ取り付けていない。

全体写真

(終)


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