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2011年5月 「クロスヘッド」



クロスヘッドは、レーザーカットした鋼材を銀ロウ付けで組み立てる構造にした。メインロッドの先端が収まる中央部分は12mm、両側の側板は3.2mmである。先端のブッシュ部分は丸棒から作る。



まず本体と側板にフラックスを塗って組み立て、真鍮リベット(釘を焼きなましたもの)で固定し、銀ロウを流す。続いて、S45C丸棒から切削したブッシュ部分を差し込みロウ付けする。この後、リベットを削り落として、側面とブッシュを研磨して仕上げる。



全体の外形を基準にして、ロッドを通す穴を開ける。ここは8mmリーマ仕上げ。



穴を基準にして上下の摺動溝を等間隔に仕上げるため、写真のようなダミーの軸を使用した。軸部分で高さを決めてバイスチャックし、エンドミルで上下を同じ深さまで切り込んで仕上げれば、軸対称な溝に仕上がる。




溝の磨耗防止のため、0.5mmのリン青銅をコの字に曲げたスリッパを作った。



シリンダーブロックは主台枠の穴を基準にして位置、角度を決め、主台枠の穴を移し開けてボルトで固定した。移し開けは内側からになるので、いったん主台枠を分解する必要がある。



スライドバーには、12*6mmの平鋼をそのまま利用した。まず前端をシリンダーカバーに固定する。外側モーションプレートはレーザーカット品。固定用の鋼アングル(これも直角を矯正)を取り付け、シリンダーと同様に主台枠に取り付ける。



スライドバー後端は、鋼アングルから切り出した小さなアングル材で固定する。アングルをまずスライドバー側にネジ止めし、後端の位置を決めてモーションプレートにクランプし、穴を移し開ける。後端の位置決めの際は、クロスヘッドを入れてピストン棒に通し、クロスヘッドがガタなく軽く動くことを確認する。寸法上は、スライドバーとスリッパの間に、上下合計で0.05mmのクリアランスを取っている。横方向のクリアランスは、左右合計で0.2mmとした。



内側モーションプレートに、バルブ軸ブッシュを固定する穴を開ける。ブッシュは快削リン青銅丸棒から作った。プレートの穴に対してやや緩めに仕上げる。この時点ではまだ接着しない。



バルブ軸を通して角度を保持したまま、ブッシュをロックタイトで接着する。バルブ軸は5mmと8mmの丸棒を接続して形成されている。ねじ込み&ロックナット接続である。グランドにOリングを入れずに仮組みし、バルブ軸が前後に軽く動くことを確認する。バルブ軸の後端にはフォークエンドが付くが、それはまたのちほど。



主台枠に、板バネを引っ掛けるフック用のブラケットを取り付けた。軸受板とスペーサー(いずれも平鋼材)から成る。それぞれ1穴だけ開けてボルトナットで固定し、残りの穴を移し開けた。



ここでクロスヘッドに穴を開けてガジョンピンを取り付けた。ガジョンピンは、前からねじ込んでロックナットで固定する方式とした。サイズの関係でM7*0.75という特殊なネジ(OSボイラー部品では標準サイズ)を使用している。ナットはM6の鉄ナットを追加工して作った。



シリンダー回りの工作が完了した。クロスヘッドとピストン棒はテーパーピンで固定する予定だが、位置決めはメインロッドができてからである。




ここで漸く鋳鉄部品が入荷した。厚手の木型が多く、「引け」が止められなくて苦労したらしい。材質はすべてFCD(ダクタイル鋳鉄)である。次回から動輪まわりの工作に移る。


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