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2024年4月 「ボイラー外装(1)」


ボイラーの外装を効率よく製作するため、車体から煙室とボイラーを下ろして工作室に持ち込むことにした。その前に、前端梁から煙室を支える、罐支えを製作する。


罐支えは、機関車前端のデッキ裏面に入っている部品で、鋼丸棒と平鋼を加工し、銀ロウ付けで組み立てた。回転する部品ではないが、下部はピンで固定されており、ピンはSUS303丸棒から作製した。



前端梁鋳物と煙室の間に取り付けた状態。この上に前部デッキが付くので、完成すると上からは全く見えなくなる。



ボイラーカバーには、1.6mmの鋼板を使用した。もっと薄くても良いのだが、タップを立てて部品を取り付けるために、あえて厚い材料を選んだ。手持ちの曲げロールでは曲げられそうになく、曲げ加工の外注をした。実機のボイラーカバーは、ボイラーバンドで区切られた範囲で多数分割されているが、模型では、前半のストレート部分は一体とし、安全弁付近のテーパー部分は上下分割、火室部分はU字に曲げてもらった。以後、それぞれ第1、第2、第3カバーと呼ぶ。



第1カバーに、周方向で四分割したケガキ線を描く。胴体の前後に金属製の巻尺を強く巻き付けてクランプし、全周を4分割してマーキングし、1メートルの金尺をクランプしてカッターでケガキ線を入れた。同様にして、第2、第3カバーにもセンターラインをけがく。ボイラーカバーへの各部品取り付け位置は、これらの基準線を元にして割り出す。



第1カバーにドームの穴を開けるが、2mmのドリルで円周状に並んだ穴を開け、糸鋸で切り取り、半丸ヤスリで仕上げた。



以後、第2、第3カバーへの穴開けには、第1カバーを土台として使用した。上からドリルで押さえると凹んでしまうので、つっかえ棒を入れている。




第1カバー下部に真鍮アングル製のラグ端子を取り付ける。第1カバーは、ボイラーに通してからここを締め付けて固定される。ラグ端子は銅リベットで固定し、高温ハンダで補強する。



第1カバーの前半下部に、ランボード支えと動力逆転器取付用の穴を開ける。これもドリル列で切り抜いてヤスリで仕上げた。



図は、第2カバーのテーパー形状を誇張して描いたものである。テーパーになっているのは上の稜線だけで、左右と底はストレートである。ボイラー覆いは中央で分割して、上半分は、ドーム型のものを斜めにカットしたもの、下半分は通常の半円型のものを組み合わせている。



上半分の汽笛が取り付けられる部分は、切り取られて平板がはめ込まれている。写真のように糸鋸で切り抜いた。板を変形させないように、丸棒を利用して机に固定した。



平板部品は真鍮板を加工して作った。前後の隙間は別の妻板で塞がれている。銅リベットで固定し、高温ハンダを流して補強した。その前の安全弁用の穴は、25mmのホールソーで開けた。



第2カバーは上下をネジ止めして組み立てる予定だったが、外観を重視して銅リベット固定とした。裏に帯板を入れて接続するが、帯板は、第1カバーの下端を切り取った曲面材を使用している。



組み立てのため、下半分は中央で切断し、第1カバーと同様に、ラグで締め付け固定するようにした。サイドの銅リベットで接続した部分は、高温ハンダを流して補強した。



第3カバーには両肩に洗口栓を取り付ける。以下、加工方法を示す。ちなみに、洗口栓の下のドリル穴の列は、ダミーリベットを植える穴である。



洗口栓取り付け穴は、ホールソーで開けた。第1カバーを土台として利用した。



洗口栓本体は、真鍮丸棒を旋削して作った。円周穴はいつものように、三爪チャックごとフライス盤に固定し、計算座標で開けた。



中央のプラグは真鍮角棒から作った。下端を丸く旋削してネジを切り、本体にねじ込んで銀ロウ付けした。第3カバーに固定穴を移し開け、銅リベットで固定する。




以後の組み立ては、古い箪笥の天板を定盤として使用した。ボイラーにボイラーカバーと煙室を取り付け、ブラケット類とハンドレールを取り付ける。工作の詳細は、次回紹介する。



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