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2023年4月 「圧力計その他」


本体の外装工事を進める前に、ボイラーが露出した状態で試運転をして、問題点を抽出した方が良いと判断した。ということで、試運転ができる状態に持って行くことを最優先とする。まず、ボイラー周囲のフィッティング類の残りを仕上げる。


前回報告したダミー火室側面の排水弁ブッシュに取り付ける排水弁を作製する。本体は真鍮製で、エルボになっており、銀ロウ付けで組み立ててロータリーテーブルでシルエットを加工した。



排水弁のプラグはSUS303製で、実機を真似て四角形のヘッドとする。丸棒の先端をプラグ形状に加工し、丸棒の反対側に角材を固定し、ここにスコヤを当てて90度刻みで回してセットし、インデックス加工をした。この後にプラグ部分を突っ切って完成となる。



完成した排水弁の部品と、それをダミー火室に組み込んだ状態。排水管は、真鍮管の根元に、真鍮製のねじ込みブッシュを銀ロウ付けしたものである。




ボイラーへの給水に使用する逆止弁を作製した。球弁のサイズは1/4インチである。弁座は75度の鋭角で、弁座の穴はリーマで仕上げている。頂部のキャップの先端には、球弁の上昇量を制限する出っ張りを設けている。



逆止弁の弁座は、旋削後にクロム球を用いてシーティングをした。高速で回転させ、クロム球で軽く一瞬押すだけ。



逆止弁はバックヘッドの下部に取り付ける。左はテンダーからの加圧ライン(軸動ポンプ、ハンドポンプ)、右はインジェクター用に使用する予定である。缶胴の先端右にも逆止弁用ブッシュがあるが、ドンキーポンプ用なので、とりあえず圧力テスト用プラグで塞いでおく。



水面計の上端と蒸気箱を短絡する配管を追加した。これはボイラーが満水になった時に、水面計内にトラップされたエアを抜くためで、WILLIAMのボイラーに追加で取り付けたものと同じ。これがあれば水面計の上のブッシュは不要となるのだが、水面計を強固に保持するためにこの構造とした。



蒸気箱の弁のうちハンドルの大きいものが通風弁で、ここからの配管はボイラーを貫通して煙室の吐出管に接続される。右側の水面計の後ろに隠れている配管がそれ。その後ろの長い配管は、汽笛につながっている。




圧力計はライブスチーム用ではなく、工業用の汎用品(直径30mm)を使用した。耐熱タイプではないが、金属ケースのものを選んだ。



圧力計の配管は、180度以上曲げなければならない。写真のような分解できるローラーを用意し、配管を曲げてから分解して取り出した。



圧力計の接続は、1/8"の管用テーパーねじになっており、袋ナットにテーパーのタップ立てが必要になる。テーパーが袋ナットに底付きしてしまうので、ナットの胴部分とヘッド部分を別に作って銀ロウ付けをした。ナットはユニオン接続ではなく、圧力計に固くねじ込んだ状態で角度を決めて銅管に直接銀ロウ付けした。




バックヘッドに取り付け。圧力計配管の根元側は、蒸気箱の左側面に接続される。ちなみに、蒸気箱の残りの3本のバルブは、インジェクター、ドンキーポンプ、発電機を予定しているが、これらは試運転後に作る。



安全弁は、台湾の游さんが製作したものをいただいているので、とりあえずこれを使用する。台湾で実使用状態を何度も見ており、確実に動作するものである。念のためコンプレッサーで動作圧力を測定したところ、0.5MPaで動作をした。



本体で試運転に必要なものとして、オイルポンプが残っている。次回はそれを紹介する予定。

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