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2008年3月 「従台車(2)」



従台車の車軸も先台車と同様に、固定触れ止めを用いて旋削した。軸箱が外側に来るので、軸が両端に長く突出している。軸の端部は隠れて外から見えないのだが、一応、端部にはセンター穴を開けておいた。塗装した従輪に、ロックタイト603で接着する。
ちなみに、ロックタイト社の嫌気性接着剤の使用期限は2年である。期限が切れるとただちに使用不能ということはないが、あまり古いものは使わない方が良い。



従台車を分解して従輪を組み込んだ。予想はしていたが、神経を使うやりにくい作業だった。表から六角ボルトを入れて裏をナットで締めるのだが、軸箱鋳物のリブが厚いため、表からボルトを回すことができない。台枠の裏と車輪の隙間にピンセットでナットを入れ、ピンセットの先端でナットを回してねじ込まなければならない。なお、実機は軸箱の下がバッサリ切られており、台枠を分解しなくても車輪を下から入れられるようになっている。自分の設計では、軸箱を分割構造にしたため、実機と同じ構造にすることができなかった。



軸箱の外側には軸箱油受、その外に軸箱蓋が取り付けられる。実機の油受のフランジは、レーザ加工の別部品とした。まず軸箱フタとフランジを加工する。鉄板にハンダ付けしてこれをフライス盤のステージに固定し、ヒンジ部分のみ板厚を残し、他の部分はエンドミルの正面削りで薄く削る。写真はフランジを加工しているところで、フタも同様に加工する。フランジは1.5mm、フタは1mmとなる。



フタとフランジを両面テープで仮固定してバイスにチャックし、ヒンジの穴(1.6mm)を貫通させる。両面テープで固定したのは、適当な隙間を作るためである。隙間なしでヒンジ穴を開けると、塗装後にフタが完全に閉まらなくなる。



続いて、鋳鉄製の軸箱油受を加工する。まず表裏の面を旋盤の四爪チャックで保持して仕上げる。フランジが付く面はやや仰向けになっており、表裏は平行にならない。



油受を軸箱に固定するための段差穴を開ける。底面が水平になるようにバイス固定する。上の加工面は傾くので、先にエンドミルで座繰りをしてから穴を貫通させた。ついでに両側の耳のボルト穴も開けた。中央の注油穴は13mmだが、ここではとりあえず10mmのエンドミルを貫通させ、あとで裏からドリルで13mmに拡大した。



フタとフランジを取り付けた油受け。フタの上の帯板は、フタを開閉状態で保持するための板バネで、0.5mmのリン青銅板で作製し、真鍮リベットとハンダで固定した。ヒンジには真鍮の丸釘を切断して通した。先端をかしめて固定するのは塗装後となる。



いったん分解して、軸箱の外側に油受、フランジ、フタを順次取り付けていく。油受けを取り付けるネジ穴は、軸箱の角穴の底に開けてある。六角穴付きボルトの頭は、座繰りの中に埋まった状態となる。ボルトは対角線状に2本で、反対側の対角線にはフランジを取り付けるネジ穴が開いている。フランジ取り付けには皿ネジを用いて、ここも頭を完全に埋めた。




後台枠の後端に復元装置のシリンダーが付く。シリンダー本体は砲金鋳物で、両側をふさぐヘッドはレーザ加工品である。



シリンダーは、まず後台枠への取り付け面を仕上げ、ここをアングルプレートに押し付け固定して面板上で穴の芯を出す。穴と片側端面を仕上げ、反転して反対側の端面を仕上げる。



ヘッドに、シリンダーの穴と嵌合させるための段差加工をする。



復元装置台座(押し棒を受ける円錐状の部品)は真鍮丸棒を旋削して作った。まず根元側を仕上げ、反転して先端の円錐形状をテーパー削りで仕上げる。内部はまずドリルで所定の深さに掘ってから、これもテーパー削りで仕上げる。



旋盤で、シリンダー内に収まるコイルバネを巻く。ピッチが荒くて旋盤の自動送りは使えず、親ネジを手回しで送って巻いた。コイルバネは二重になっている。バネ強度を増すためで、模型でもこの方法を踏襲した。ただし線径は実機より細く、従って復元力も弱い(外が1.6mm、内が1.2mm)。内外のコイルバネは、絡まないように、お互いに逆向きに巻かれている。




復元装置を組み上げて、後台枠に取り付ける。台座は、内部のバネで外に押し出され、フランジ部分がヘッドに当たって止まっている。これをどちらか一方から押し棒で押すと、台座がシリンダー内に押し込まれてバネが縮み、これが復元力となる。



ピボット穴に入れる心向ピンは実機と同じ構造にした。上から入れて下をナットで締め、さらに割ピンで固定するようになっている。ナットを締めるときにピンが回らないように、ピンの根元にキーが入っていて、本体のピン受穴にはキー溝が切られている。キーの代用として、ピンの根元に横穴を開けて、1.2mmのバネ用ステンレス線を差し込み接着した。本体側のキー溝は小型の平ヤスリで形成した。ヘッドを六角にすればキーは不要になるが、そうすると狭い台枠内にレンチを入れなければならなくなる。



従台車本体を後台枠に組み込むと、見慣れた一軸従台車の景観が出現する。一見複雑な機構も、必要最小限の部材の組み合わせである。



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